どうやって登るの?特殊伐採で伊那市の神社にて枯れ枝おろし

まだまだ暑い日が続きます。
今日の依頼は、社殿のにかかったケヤキの大きな枯れ枝を取り除いてほしい、というものでした。

なかなか絵になるケヤキの枝です。

ですが、先端から真ん中あたりまで白色辺材腐朽により枯れ下がっています。
このまま放っておくと落下する危険があるので、枝の根元で切ることに。

右手に見えるのがそのケヤキ。一番下の枝が依頼のあった枯れ枝です。地上から見るとそう大きくは見えません。

どうやって登るの?

まず、スローラインという直径2mmほどのヒモと鉛のオモリのついた分銅のようなものを20mほど投げて、上の枝にかけます。
そして、それをクライミングロープに差し替える。
で、ロープで登っていく。こんな感じ。
ざっくりしすぎてますね。また詳しく書いてみます。

登り始めの様子。
15mほど登ったところ。朝日がケヤキの葉に乱反射して輝いて見えます。

リギングって何?

対象の枝の総重量は、2t近くはありそうでした。なので、何回かに分けて吊下ろしていきます。

この吊下ろす作業を「リギング(rigging)」と呼んでます。

特殊伐採の現場では、枝などをそのまま下に切って落とすことができない状況が普通にあるのでリギングが必要不可欠な技術になってきます。

枝を先端から順に切っていっているところ。「枝」といっても、この時点で直径40cmほどはあるでしょうか。

途中、枝の内部に大きな空洞があり、溜まった茶色の水がスコールのように降り注ぐ。その他、大量の切り屑が降ってくるなどはごくごく日常。防護メガネ、バイザーは必須アイテムです。

上下作業はご法度!

樹上作業者はチェーンソーを使用し枝を切り、地上ではロープの操作で切った枝を吊り下ろす。お互いの作業状況を把握し、息を合わせて行わなくてはいけません。
経験はもちろん、十分な理解がないとできない作業です。
また、絶対にやってはいけないのは「上下作業」で、これは樹上作業者と地上作業者が、真上と真下で同時に作業すること。
樹上作業者は目の前の仕事に気を取られている状況だと想定し、地上で作業する者が隙を見計らい、真下に入るときは、必ず声をかけて止まってもらうようしましょう。
なんか説教臭くなってしまった。

神社の総代さんたち。
みなさん、興味深そうに眺めておられました。
ロープで吊っている状態。
400kgくらいはありそうです。
下りてきたところ。

今回は重量が大きかったことと、枝が枯れていたことなどの状況から、14mmの太さのロープを2本使用し、3点で吊り下ろしました。

僕の相棒、petzlのzigzag。リギングアンカーを付けに登っている。
今回のメインクライマーは杉原さん。
目が詰まっていて状態もよい。木工家としてワクワクします。

皆で力を合わせ、昼過ぎに作業を終えることができました。クライマーが降りてくると総代さんたちは拍手喝采!
神社の中も明るくなり大層喜んで下さいました。

社叢は御神木を始め、たくさんの巨木に囲まれており独特の空気感がありますよね。僕は、この空気感の中で、社叢の雰囲気をより良くするための作業がツリーワークの中でも最も楽しい。
剪定はもの作りに近いクリエイティブな面があるからだ。

以上、現場からでした。

では。