アーボリカルチャー研修会 @駒ヶ根キャンプセンターby(株)アーバンフォレストリー
なぜYouTubeではなく、講習会なのか?

結論から言います。

受けるべし

なぜのか、僕なりに説明をしていきますので、お付き合いください。

4日から6日にかけて弊社アーバンフォレストリーが主催するロープクライミングテクニック講習が行われました。

弊社の講習会で技術を習得された方の人数はこの7年で延べ1000人を越えるとか。さらに掘り下げてみると、弊社の代表取締役である吉見次郎氏(以下jiro氏)が教えた人数は1500人にも登るそうです。

今回の参加者は12名。
台風の影響が心配でしたが、コロナ渦の影響で、前回の講習会が中止されたこともあり、受講予約がすぐに埋まってしまいました。
皆さん、ぎゅ〜っと詰まった内容を、三日間もの間、頭と身体をフル回転させながら習得していかれました。

何のための講習会なのか?YouTubeで良くない?


A. 「死なないためです。」


これに尽きると思います。
また、youtubeで十分じゃないの?という人は多いと思います。
しかし、youtubeはその特性上、わかりやすくて、皆が見ているおすすめ情報を流すリコメンド機能があります。なので、おすすめ情報は見ることができても、「必要不可欠な」情報や「やってはいけない」技術を自分で選んで体型的に習得しようとすると、かなり意識的にやらないといけない。


はたして、これから習得する未知の技術体型を、自分で取捨選択することって可能でしょうか?


また、ライブ配信でない限り、各々の細やかな「なんで?」に答えうる媒体ではありません。
まだまだインタラクティブに欠けるんです。

未経験者には、
ロープを使って作業する上で、ロープの特性を知り、安全に作業するとはどういうことなのか?
どういった点に注意すべきか?
どういう使い方をすれば危険なのか?
など、重要なポイントは特に注意深く伝える必要があります。

僕は自分ではわかっていることでも、なるべく受講者の視線に合わせて、理解がより深まるような質問を投げかけるように努めています。

jiro氏のデモンストレーションを固唾を飲みながら見守る受講者
Sugi氏を枝に見立て、クライミングシステムについて説明するjiro氏
コロナ対策のためマスク着用してます。暑かった…。

講習会を受けると危険木の処理はできるのか?

A. 「おそらく、すぐにはできません。」

受講される方のスキルにもよるからです。僕自身、そんなに甘くはない世界だと実感しています。しかし、多くの方が今まで登れないと諦めていたような、高木の剪定などはできるようになります。
講習会を経て、経験を積み、第一線で活躍されている方もたくさんいます。


また、経験のある熟練した方であっても、講習会を受けて、今までやってたやり方が実は危険だったことがわかり、愕然とされることも度々あります。

危険木の処理。
近年、大型化していると言われる台風の影響が気がかりです。
樹木に関わる仕事をされている方は、倒木の危険の恐れのある木の処理や、すでに倒れてしまっている木の対処を依頼されることありますか?
増えていませんか?

僕の経験から見ても、健全な木を剪定や伐採するのと、折れたり、倒れかかっている木を処理するのでは、その必要とされる技術の幅や深さに雲泥の差がある。

全くの別物。
おそらく多くの方が認める事実です。

なので、この講習会を受講したからといって、明日から突然できるはずはありません。
でも、依頼されることは突然です。突風で、木はいきなり倒れるかもしれない。
僕たちの目の前に突然現れる、途中でボッキリ折れてしまった木。
これをなんとか処理しないといけない現実。
どうすれば安全に作業できるか?
という技術や道具の基本的な情報をインストールすることが、当講習会の要点の一つだとおもいます。

結論、講習会は受けるべし

では、なぜ、受けるべしなのか。
それは繰り返しになりますが、ツリーワークがおそらく多くの方にとって、未知の技術体系だからです。
そして、その技術が、間違えると大怪我につながる危険を常に伴うものだからです。

ではその未知の部分とは?
それはずばり、安全に関する知識とロープをはじめとする専用の道具の特性でしょう。

ロープを使ったツリーワークの考え方は今まで脚立などで仕事していたそれとは違います。
高い木へ登るとき、できるかどうかを意思決定するときに決め手となるのはロープ。
重い枝を吊り下ろすときに、決め手となるものもロープをはじめとする道具類です。
頭を切り替える必要があります。

もちろん、作業者の技術は必要ですが。

なぜロープなのか、ロープを使うと何ができるか、どこが弱点なのか、は実際にロープに身体を預けて体験することでしか得られないものがあります。

そして、何よりも作業する上で、習得しなければいけないものが安全管理です。
ツリーワークでは、ロープの高さの分だけ、高く昇登こることがてきるので、安全管理については、徹底しなければなりません。

安全管理とは、水を注ぎ続けないと、枯れてしまう植物のようなものでしょうか。しかも、枯れて初めてその重要性がわかる、地味な花しか咲かせません。
普段から習慣として身につけておかないと、取り返しのつかないことになる作業なだけに、安全管理に関しては最初期のインストールが最も効果的で重要です。

フットロックという技術で軽やかに登るjiro氏。本人は「重そうに見える」とぼやいていました。
秋の木漏れ日がきれい。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
みなさんの何かのお役に立てれば、幸いです。