作業イメージ

しがみつくようにして登っていき、頂上にアンカーを設置

家具を作る時も、庭を造るときも、ツリーワークのときも、目指すべきかたちのイメージがあり、それに向かうための自分の動きや仲間の動きのイメージがある。

「イメージがないのか⁉︎えぇ⁉︎」

庭の師匠、古川三盛氏が現場でよく弟子に叫んでいた、今でも耳に残っている言葉だ。

彼の言うイメージとは、ざっくり言うと作業の見通しを持っているのか、あるいは目的は定まっているか、という意味である。

現場では、イメージそのものについての説明や、その時々に移り変わるイメージの輪郭すらも教えてもらえるものではない。

「なんとなくこういう感じ?」

を少しずつ察知しながら、おそるおそる、時には大胆に擦り合わせていかないと醸成できない。

「イメージがあるならやってみな」

「イメージがないのにやるな」

どうも、イメージというのは作業する前に必要不可欠なものらしい。

しかし一度イメージを掴んでしまえば、しめたもので、

「そうそう、そうそう、そうくるよねぇ~、わかってる、わかってますよ~」

という感じで、イメージの輪郭や作業の見通しが手に取るようにわかったりする。

先月のお仕事。樹高25mくらい、直径80cmのモミをお墓の敷地の外に吊って出すというもの。

お墓の中だけど、木しか見えない

条件は素麺揖保の糸の箱の材料に使うから、できれば2mくらいでだしてね、とのこと。予想される重量は1tを超える。

グラウンド作業なら何度かやったことはあるし、道具はそろってるし、作業人数もなんとかなりそうだ。

なにより今回は全体の作業イメージや段取りが、はじめから終わりまではっきりとつかめた。

あとはただ、樹上ではやったことがない作業がいくつかあるだけというだけ。

でもイメージはつく。

不安はないことはないが、イメージはついているのでわくわく感の方が勝っている、イメージの世界では仕事が終わってしまっているという不思議な感覚。

イメージが先か、経験が先か、理論か、人によって違うと思う。

また、そう思い通りにいくことばかりではないというところが現実世界の面白いところで

「思ってたんとちゃう~」

幹の太さ80cmということは、90cmのガイドバーなら一発で切れるでしょう。現実はそう簡単ではない…

ってことが何回かあり、よい学びになった。

特に現実との違いが大きかったのは伐採した材の重量のイメージ。経験したことのないメンバーのためには、これくらいで伝わるでしょ?ってところの先の先へ準備しておかないと、スムーズに作業が進まないというのがよくわかった。

結果としては、特に危険な目に遭ったわけではなく、万事無事に終わりました。

今回はチームメンバーでいろいろ知恵を出し合ったり、説明しているうちに作業イメージが共有されたというのは大きかったと思う。

この点は昨年のアーボリカルチャー研修会の成果が出てきた。

反省点としては、その作業イメージがチーム全員に行き渡っていなかったこと。

全体像をしっかりとつかめてたのは半数ほどで、他のメンバーはイメージが掴めないまま、おそるおそる作業していたように思う。

全員が理解できるまで待つ時間の余裕はなかった、というのが正直なところだ。

「えっ?イメージがないの?」

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